先週のジャマイカはNational Heritage Week、国家遺産週間でした。
10月19日(月)の祝日、ジャマイカの英雄を称えるNational Hero's Dayで締めくくられます。
National Heroとは?
その名の通り、国民的英雄のこと。
以下7名の人物がナショナル・ヒーローとして称えられています。
Marcus Garvey
Norman Manley
植民地時代の奴隷制度や権力に対し勇敢に立ち向かい自由な社会へと導いた、
まさに歴史を変えた偉大な方々です。
最初の英雄、Marcus Garvey
今回はジャマイカで初めてナショナル・ヒーローとなったMarcus Garvey(マーカス・ガーベイ)について紹介します。
ガーベイは私の任地セントアン教区の出身でありラスタの預言者とされているので、このブログでも何度か登場しています。
(参考記事)
ラスタの歴史part1
マーカス・ガーベイ・ディ
マーカス・ガーベイ(Marcus Moiah Garvey)は1887年8月、11人目の末っ子としてSt.Ann's Bayで誕生します。奴隷家系に生まれながらも、父が持つ図書館のお蔭で幼少期から読むことが大好きな少年だったそう。
たくさんの読み物に囲まれて育った彼は、大人になり印刷業を営みますが、印刷工たちのストライキに参加した経験が彼の政治活動家としての情熱に火を付けました。
そして1910年にジャマイカを出、コスタリカやパナマ、カリブ海地域を転々とします。
1912年に1度ジャマイカに戻るもすぐにロンドンへと拠点を移し、大学で法律と哲学を学びながら新聞の編集者としても働きました。同時に演説家としての活動も始めます。
1914年ジャマイカに戻り、黒人の権利を主張するUNIA-ACL*を設立。
*United Nigro Improvement Association and African Communities League/世界黒人開発協会アフリカ社会連合
彼は黒人のアイデンティティを求める運動として始まった"パン・アフリカ主義"に基づき、奴隷貿易で連れてこられた世界中のアフリカ系住民の解放と連帯を訴えました。
ラスタの歴史編でも触れましたが、これがラスタのRepatriation、アフリカ回帰の基となります。
ガーベイの主張はアメリカだけでなく、カリブや南アメリカに住む黒人の支持を得て、1920年にはUNIAの会員は400万人を超えました。
1916年には海運業を行うBlack Star Line社を設立。
事業を拡げ企業家としての活動を開始します。
Black Star Line最初の船隊 |
これは単なる海運会社でしたが、この頃熱を帯びていたUNIA会員、いわばガーベイの熱烈な信者は「この船で全ての黒人がアフリカに帰れる」という誤解を持っており、アフリカ回帰と黒人解放へ拍車がかかりました。
1922年には白人至上主義団体のKKK(Ku Klux Klan)と会談。
しかし、その強いアフリカ回帰主義のために、アメリカで活躍する一部の黒人知識階層から反発を受けます。
そのため、Black Star Line社の郵便詐欺罪として告発されガーベイが投獄されたことは、アメリカの政治的な意図があったとも言われています。
1927年に釈放されたじゃマイカへ強制送還されたガーベイはジャマイカで政治活動を始めました。1929年に労働者のための政党PPP(People's Political party)を設立。労働者の権利や教育、貧困への援助を訴え、議員として活躍の場を広げていきました。
同時にこの頃、ガーベイの演説の中に黒人解放を示唆するメッセージがあり、ガーベイ信者たちにより預言者と称えられ、ラスタファリズムの形成に強い影響を与えました。
ガーベイ自身がラスタファリズムに同調することはありませんでしたが、彼の信念はいまでもラスタに根付いています。
1935年にロンドンへ拠点を移し、5年後に生涯を終えます。
そして1964年、黒人解放に導いたマーカス・ガーベイは、ジャマイカ政府により国民的英雄に選出されました。
St.Ann'sBay図書館飾られている銅像 |
さくっとまとめるつもりが、任地出身で思い入れのあるヒーローなので長くなってしまいました。
残り6名も随時紹介していきます!
***
関連記事
- 7人の英雄-Marcus Garvey-
- 7人の英雄-Nanny of the Maroons-
- 7人の英雄-Samuel Sharpe-
- 7人の英雄-George William Gordon-
- 7人の英雄-Paul Bogle-
- 7人の英雄-Alexander Bustamante-
- 7人の英雄-Norman Manley-
*更新後にアクセス可能となります。
0 件のコメント:
コメントを投稿